副業を始めて、数か月たって、通帳に少しずつ入金が並びはじめた。
うれしくなって調べたら、「20万円を超えたら確定申告」という言葉が出てきた。
そこで手が止まってしまった、というかたは本当に多いです。
なかには「じゃあ20万円を超えないようにしよう」と、わざわざ稼ぎにブレーキをかける人までいます。
結論から言うと、それはいちばんもったいない止まりかたです。
副業の確定申告で20万円という数字が出てくるのは事実ですが、その20万円は「振り込まれた金額」のことではありません。
そして本当に面倒なのは、申告そのものではなく、申告のもとになる1年分の記録のほうです。
この記事では、国税庁が示している20万円の条件を正確に確認したうえで、記録がほとんど増えない副業の選びかたと、その記録を毎月10分で片づける手順をまとめます。
私も最初の年は、12月になってから1年分のレシートを床に広げて青くなりました。あれは二度とやりたくないです。
副業の確定申告が必要になる「20万円」の正体
まず、あいまいなまま怖がらないように、出どころを確認します。
国税庁のタックスアンサーに「給与所得者で確定申告が必要な人」というページがあります。
そこにはっきり書かれているのは、給与を1か所から受けていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要、という条件です。
逆に言えば、20万円以下であれば所得税の確定申告は不要とされています。
ここで見落とされやすいのが、条件に使われている言葉が「収入」ではなく「所得」だという点です。
所得というのは、入ってきた金額から、それを得るためにかかった必要経費を引いたあとの金額のことです。
つまり、年間で25万円の入金があっても、そのために6万円の経費がかかっていれば、所得は19万円になります。
この違いを知らないまま「入金が20万円を超えたら終わりだ」と思い込んで、手を止めてしまう人がいます。
もうひとつ、必ずセットで覚えておきたいことがあります。
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税については別に申告が必要になることがあります。
国税庁のページでも、住民税は市区町村からのお知らせを確認するように、と案内されています。
所得税と住民税は別の話だ、とだけ頭に入れておいてください。

副業をしている人は11パーセント。多くはこの入口で止まっています
そもそも副業をしている人が、いまどれくらいいるのかも見ておきます。
パーソル総合研究所が2025年10月28日に公表した「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」によると、正社員の副業実施率は11.0パーセントでした。
2023年の調査から4.0ポイント上がって、調査開始以来もっとも高い数字です。
20代男性にかぎると20.2パーセントで、若い層ほど動いています。
企業側の副業容認率も64.3パーセントまで上がりました。
認める会社は増えて、やる人も増えている。
それでも全体で見れば、9割近くはまだ副業をしていません。
やらない理由は人それぞれですが、始めたあとに手を緩めてしまう理由には、はっきりした共通点があります。
お金の管理と、税金まわりの手続きが増えることへの心配です。
ここを設計せずに始めると、稼げてきたころにいちばん重くなります。
結論。申告が怖いのではなく、記録が増える型を選んでいるだけです
先に答えを書きます。
確定申告が面倒になるかどうかは、あなたの事務能力ではなく、選んだ稼ぎ方でほぼ決まります。
年末に泣く人は、1年かけて記録が積み上がる型を選んでいます。
年末に5分で終わる人は、そもそも記録がほとんど発生しない型を選んでいます。
同じ「副業で20万円」でも、残る紙の量がまったく違います。
| 稼ぎ方 | 1年で残る記録 | 年末の重さ |
|---|---|---|
| 物を仕入れて売る | 仕入れの領収書、送料、梱包の材料費、売れ残りの数え直し | 重い |
| 時間を売って受注する | 案件ごとの入金明細、交通費、手数料 | 件数しだいで重い |
| 人の商品を紹介する | 月1回程度の振込明細と、通信費くらい | 軽い |
私がいま置いているのは、いちばん下の型です。
仕入れていないので仕入れの記録がありません。
発送していないので送料の記録もありません。
入金は紹介先からの振込がまとまって届くだけなので、1年分の明細を並べても数十行で終わります。
これは節税の話ではなく、単純に扱う情報の量の話です。
持たない型を選ぶと、確定申告という言葉の圧が半分以下になります。
副業の確定申告で手が止まらないための4つのSTEP
ここからは具体的な手順です。
会計の知識はいりません。
順番にやれば、年末に慌てる要素が消えます。

STEP1 いまの数字を「入金」と「所得」に分ける
1年分をさかのぼる必要はありません。
直近3か月だけ、入ってきた金額と、そのために払った金額を書き出してください。
引き算した残りが所得です。
ここで「思ったより所得は少ない」と分かる人がかなりいます。
数字が見えると、根拠のない怖さは消えます。
STEP2 記録が増える型を、増えない型に置き換える
これから伸ばす側の副業を選ぶときは、収入の大きさより先に「1件ごとに紙が増えるか」で見てください。
仕入れがある、発送がある、案件ごとに請求書が出る。
この3つが付いている型は、稼げるほど事務が増えます。
逆に、人の商品を紹介する型なら、増えるのは紹介先の数だけで、記録は増えません。
私はここを入れ替えたときに、月末にかかる時間が2時間から10分になりました。
STEP3 月末の10分で、入金と経費を1枚の表にまとめる
ここでやっとAIの出番です。
ネット銀行の明細をコピーして、AIに貼り付けます。
そのうえで「日付、内容、金額の3列の表にしてください」「副業に関係しそうな支払いには印を付けてください」と頼みます。
数十行の明細でも十数秒で表になって返ってきます。
あとは印が付いた行を自分の目で見て、副業に関係あるものだけ残します。
判断はあなたがして、並べ替えと転記だけをAIに渡す、という分けかたです。
これを毎月末にやっておけば、年末にやるのは12枚を縦につなぐことだけになります。

STEP4 20万円を超える前提で進める
20万円は、やめる線ではなく通過する線です。
超えたら申告する、それだけの話です。
超えないように調整するというのは、収入の上限を自分で20万円に決めてしまうことと同じです。
申告が必要になったということは、それだけ結果が出たということです。
手続きは、STEP3の表がそろっていれば1日で終わります。
注意点。ここだけは自己流にしないでください
手順どおりに進めるうえで、外してはいけないところがあります。
個別の税額や、経費にできるかどうかの最終的な判断は、税務署か税理士に確認してください。
この記事は仕組みと段取りの話であって、あなたの状況に対する税務上の助言ではありません。
AIが付けた印は、必ず自分の目で確認してください。
AIは明細を並べ替えるのは得意ですが、あなたの生活と副業の境目までは知りません。
確認せずにそのまま出すと、あとで困るのは自分です。
所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。
お住まいの市区町村の案内を、一度だけでいいので読んでおいてください。
20万円は入金額ではなく、経費を引いたあとの所得です。
ここを取り違えたまま計算すると、必要な申告を落とすことがあります。
そして最後にひとつ。
税金が心配だからという理由で、稼ぐ手を緩めないでください。
順番が逆です。
よくある質問
副業の入金が年間20万円を超えたら、必ず確定申告が必要ですか
必要かどうかは入金額ではなく所得で判定します。給与を1か所から受けている場合、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。入金が20万円を超えていても、必要経費を引いた所得が20万円以下なら所得税の申告は不要とされています。ただし住民税は別なので、市区町村の案内を確認してください。
経費のレシートは全部取っておかないといけませんか
副業に関係する支払いの記録は残しておいてください。ただし全部を紙で保管しなくても、写真に撮って月ごとのフォルダに入れておけば探すのは楽になります。大事なのは量ではなく、月末に10分でまとめる習慣のほうです。
AIに家計や副業の数字を入れても大丈夫ですか
口座番号や氏名などが入ったままの明細をそのまま貼るのは避けてください。日付と内容と金額だけにして貼れば、並べ替えの作業だけ渡せます。心配な場合は、金額を1件ずつ手で打ち直しても、10分あれば終わる量です。
会社に副業がばれないようにしたいのですが
住民税の徴収方法など、実務にかかわる部分は勤務先の規定と市区町村の運用で変わります。ここは推測で動かず、就業規則を確認したうえで、市区町村の住民税の窓口に聞くのが確実です。
まとめ
副業の確定申告で手が止まる原因は、知識不足ではありません。
あとから重くなる型を、知らずに選んでいることのほうが大きいです。
今日からやることを3つにしぼります。
- 直近3か月の入金と経費を書き出して、いまの所得を出す
- これから伸ばす副業は、仕入れと発送と請求書が付かない型を選ぶ
- 月末に10分だけ、明細をAIに並べさせて1枚の表にする
この3つがそろうと、20万円という数字は怖い線ではなくなります。
ただの通過点になります。
そこから先は、稼ぐことだけを考えれば大丈夫です。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」2025年10月28日公表(調査期間 2025年8月1日から8月7日) https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob4/
