副業を始めたいけれど、会社にバレるのが怖い。
就業規則に何か書いてあった気もするし、そのままにして1年が過ぎた。
そういうご相談をよくいただきます。
先に安心してほしいことがあります。
国が公開しているモデル就業規則は、いま「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という書きかたになっています。
禁止が出発点ではありません。
結論を先に言います。
確かめる順番は2つだけです。
自社の就業規則にある副業の条文を1つ読むことと、住民税の集めかたを知っておくことです。
そして、多くのかたが怖がっている部分は、実は隠しかたではなく働きかたの型で決まります。
雇われる型は分けられず、雇われない型は分けられるからです。
そのあとに残る重い作業、探す、比べる、整理する、下書きは、自分以外に渡します。
渡し先の答えは、記事の後半に出します。
副業禁止は原則ではない。国のモデル就業規則の中身
まず、いちばん大きい前提から見ます。
厚生労働省が「モデル就業規則」という雛形を公開しています。
会社が就業規則を作るときの見本です。
その第70条が、副業と兼業の条文です。
令和7年12月版には、こう書かれています。
「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」
続く第2項で、会社が禁止や制限をできる場合が4つだけ挙げられています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により、企業の利益を害する場合
つまり、原則は自由で、例外が4つという組み立てです。
これは厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とも揃っています。
平成30年1月に作られ、令和2年9月と令和4年7月に改定されたものです。
そこには、裁判例では労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に労働者の自由だ、と書かれています。
ここで正直に書いておきたいことがあります。
モデル就業規則はあくまで雛形なので、あなたの会社の規則が同じとはかぎりません。
古い規則のままの会社もありますし、届出制や許可制にしている会社もあります。
だから確かめるのは、国の文章ではなく自社の1条文です。

会社に知られる経路は、就業規則ではなく住民税のほう
ここからが本題です。
就業規則を確認して問題がなかったとしても、まだ不安が残るかたが多いです。
その正体は、たいてい住民税です。
住民税は、多くの会社員が給与から天引きされています。
これを特別徴収と言います。
副業で所得が増えると住民税の額も変わるので、そこで気づかれるのではないか、という不安です。
国税庁の確定申告書等作成コーナーに、はっきり書かれています。
住民税の徴収方法を選べるのは、給与や公的年金等に係る所得以外の所得についてだけです。
選択肢は「特別徴収(給与から天引き)」と「自分で納付」の2つです。
そして給与所得については、原則として特別徴収とされていて、徴収方法を選べません。
ここが分かれ目です。
副業がアルバイトやパートだと、それは給与所得です。
給与所得は選べないので、本業の給与と合算されます。
一方、雇われない形で得た所得は、給与以外になります。
この場合は、確定申告書の第二表で「自分で納付」を選べます。
つまり、こういうことです。
分かれ目は隠しかたではなく、雇われるかどうかです。
時間を売って雇われる型を選ぶと、住民税も働く時間も本業と混ざります。
雇われない型を選ぶと、そもそも混ざりません。

始める前に確かめる3つの質問
ここまでを、そのまま質問にします。
3つだけです。
質問1 その副業は、雇われる型ですか
雇われる型なら、それは給与です。
住民税を分けられませんし、勤務時間の管理も本業と通算される話が出てきます。
雇われない型なら、どちらも起きません。
質問2 4つの例外に当たりませんか
モデル就業規則が挙げている4つです。
労務提供上の支障、企業秘密、名誉と信用、競業。
ここに引っかかる副業は、そもそも選ばないほうがいいです。
本業と同じ業界の商品を紹介する、会社の名前を出す、勤務時間中に手を動かす。
この3つを避けるだけで、ほとんど当たらなくなります。
質問3 いちばん重い下ごしらえを、自分以外に渡せますか
ここが3つめで、いちばん大事なところです。
会社員の副業が続かない理由は、時間が足りないことです。
そして時間を食うのは、決める作業ではなく調べる作業です。
どんな型を選んでも、重い作業は同じ4つに集まります。
探す、比べる、整理する、下書きです。
この4つの渡し先がAIです。
候補を出してもらい、条件で比べてもらい、表にしてもらい、下書きまで作ってもらう。
返ってきたものから自分で選べば、平日の夜でも1本が形になります。
ただし、渡すのは下ごしらえまでです。
何を紹介するか、誰に向けて書くか、自分が使ってどう感じたか。
この3つは自分に残してください。
ここを渡すと、他の人の記事と見分けがつかなくなります。
ちなみに私は、売る物を持たない型を選んでいます。
人の商品を紹介する形なので、雇われません。
仕入れも在庫も発送もなく、勤務時間外に自分のペースで進められます。
質問1にも質問2にも、いちばん引っかかりにくい型です。

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平日は本業があって、動けるのは夜と週末だけ、という前提で組んであります。
会社員が副業を始める5ステップ
ここからは手を動かす部分です。
順番が大事なので、飛ばさずに上から進めてください。
STEP1 就業規則の副業の条文を、1つだけ探す
社内ポータル、入社時にもらった冊子、人事に聞く。
探すのは「副業」「兼業」「他の会社」のどれかが入っている条文です。
全部読む必要はありません。
1条文だけで判断がつきます。
STEP2 禁止なのか、届出制なのか、許可制なのかを見分ける
同じように見えて、意味がまったく違います。
届出制は、出せば始められます。
許可制は、判断が会社にあります。
禁止と書いてあるなら、黙って始めないでください。
この場合は、就業規則の改定を待つか、人事に確認する順番になります。
STEP3 4つの例外に当たらないかを、自分の仕事で確かめる
労務提供上の支障、企業秘密、名誉と信用、競業。
この4つを紙に書いて、自分がやろうとしている副業を当てはめます。
1つでも当たりそうなら、内容を変えます。
やめる必要はありません。
扱うテーマを本業から離すだけで、たいてい外れます。
STEP4 給与にならない型を選ぶ
雇われると給与になり、住民税も労働時間も本業と混ざります。
だから、雇われない型から選びます。
売る物を持たずに人の商品を紹介する形なら、仕入れも在庫も発送もありません。
平日の夜に30分ずつでも積めます。
STEP5 重い4つをAIに渡して、今週1本出す
探す、比べる、整理する、下書き。
この4つを指示文にして渡します。
返ってきたものから自分で選び、使った感想を自分の言葉で足します。
これで1本になります。
完璧な1本を目指さないでください。
出した1本が、次の1本の型になります。

注意点とよくある失敗
先に、間違えやすい場所を書いておきます。
これは隠しかたの話ではありません。
就業規則で禁止されているのに黙って始めるのは、自分の首を絞めます。
この記事で言っているのは、確かめる順番と、後から面倒が起きにくい型の選びかたです。
公務員は会社員とは前提が違います。
国家公務員法と地方公務員法で、営利企業に従事することが制限されています。
ここで書いている話は、民間の会社に勤めているかた向けです。
20万円のラインは所得税の話で、住民税は別です。
厚生労働省のガイドラインにも、20万円を超える副収入がある場合は年末調整ではなく個人の確定申告が必要だと書かれています。
ただし住民税には、この20万円の扱いがありません。
20万円以下でも、お住まいの市区町村に申告が必要な場合があります。
「自分で納付」を選んでも、確実とはかぎりません。
自治体の処理や副業の所得の種類によっては、そのまま反映されないことがあります。
気になるかたは、お住まいの市区町村の住民税の窓口に先に聞いてください。
最後にもうひとつです。
勤務時間中に手を動かさないでください。
4つの例外のうち、労務提供上の支障がいちばん当たりやすいところです。
夜と週末だけで回る型を選べば、そもそもこの話になりません。
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本業があって、動けるのは夜と週末だけ、という前提で組んであります。
よくある質問
就業規則に副業禁止と書いてあったら、もうできませんか
黙って始めるのはやめてください。まず、それが全面禁止なのか、許可制なのかを読み分けます。国のモデル就業規則が副業を前提にした書きかたに変わっているので、規則自体を見直している会社も増えています。人事に確認するか、社内で先に届出をしているかたに聞いてみるのが早いです。
届出をしたら会社に止められませんか
モデル就業規則では、禁止や制限ができるのは4つの場合だけです。労務提供上の支障、企業秘密、名誉と信用、競業です。本業と関係のないテーマを勤務時間外に扱うなら、この4つには当たりにくいです。逆に言えば、届出で止められるような内容なら、内容のほうを変えたほうが安全です。
副業がアルバイトだと、なぜ住民税を分けられないのですか
国税庁の案内で、住民税の徴収方法を選べるのは給与や公的年金等に係る所得以外の所得だけ、とされているからです。アルバイトの収入は給与所得なので、この選択の対象外になります。給与所得は原則として給与からの天引きです。雇われない形で得た所得なら、確定申告書の第二表で「自分で納付」を選べます。
確定申告はいくらから必要ですか
厚生労働省のガイドラインでは、20万円を超える副収入がある場合は個人による確定申告が必要だと書かれています。ただしこれは所得税の話です。住民税には20万円の扱いがないので、20万円以下でも市区町村への申告が要る場合があります。金額が小さいうちに、一度お住まいの自治体に確認しておくと後が楽です。
AIには何から渡せばいいですか
いちばん時間がかかっている1工程からです。多くのかたは「調べる」と「比べる」でした。候補を出させて、条件を決めて表にしてもらうところまでを1回やってみてください。全部を渡そうとすると指示が長くなって、かえって時間がかかります。判断と、自分が使って感じたことは渡さないでください。
まとめ
会社にバレるのが怖い、という悩みの正体は2つに分かれます。
就業規則と、住民税です。
就業規則のほうは、国のモデルが「勤務時間外は他の会社等の業務に従事することができる」になっていて、禁止できるのは4つの場合だけです。
住民税のほうは、選べるのが給与以外の所得だけで、給与は原則として選べません。
やることは3つです。
- 自社の就業規則から、副業の条文を1つだけ読む
- 雇われる型ではなく、給与にならない型を選ぶ
- 探す・比べる・整理する・下書きはAIに渡し、判断と体験は自分に残す
今週は、就業規則を探すところまでで十分です。
1条文読めば、1年止まっていた理由がなくなります。
本気で1本目を出したいかたへ。
売る物を持たずに始める型と、重い4作業を外に出す指示文を、無料でお渡ししています。
会社に勤めたまま進めるかたを想定して組んだ内容です。
出典
- 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)第70条 副業・兼業https://www.mhlw.go.jp/content/001620507.pdf
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定/令和2年9月改定/令和4年7月改定)https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「住民税の徴収方法の選択」https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru/cat1/cat13/cat132/cat1324/cid395.html
